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01:定山渓鉄道
定山渓鉄道1100/7000系車両解説

札幌市営地下鉄相互直通乗り入れに際し、それまで定鉄にて運用されていた旧型車は吊掛け駆動で有ったことや内装に木材が使われており、A-A-A基準を満たすことができない等の理由で状態の良かったモハ1200型、モハ1100型+クハ1100型等が真駒内以遠のローカル運用に残されたほかは多くが豊平車庫と運命を共にした。

その中で、車体更新を行いA-A-A基準を満たしていた車両が有った。 昭和39年竣工の車体更新車モ2300型である。

当時最新鋭であった東急7000系を2扉化したような印象の普通鋼製車体を持つこの電車、乗車時間が短く夏も暑くない北海道なら大丈夫だろうと測窓をすべて固定化し、換気を屋根上のベンチレーターだけに頼るという極端な設計であり、飛行機用のエチケット袋を最初から用意して運用についたことから「ゲロ電」と言うありがたくないあだ名を頂戴したほか、下回りが電化開業当時の旧型車そのままで有ったことから、加減速性能も悪く、運用上もてあまし気味であった。

だが、数の足りない2400系と高価な4000系だけでは輸送力が足りない定鉄としては、一応A-A-A基準を満たしているこの車両に注目。 オリンピックを前にした1982年、全線ATS化と旧型車一掃を前にして下回りを更新の上増結用車両として再生することを決めた。

また、同時に親会社である東急が将来のVVVFインバーター制御導入に向けて6000系を改造した試験車を運行すると同時に、寒冷地試験を兼ねて定鉄でもVVVF車の試験を実地することを決定、2300型の近代化改装時にVVVF試験車にできないか、という事を提案してきたのだ。

定鉄としては本線用としては疑問もあるVVVFを…という不安が有ったものの、改装費用が丸々東急持ちとなるこのプランの魅力には逆らえず受け入れることを決定。約20年ぶりに2300型は津軽海峡を渡り東急車両横浜工場に入場したのであった。

改造内容としては制御系を6000系同様の東洋工機製VVVFインバーターを核に据えたものへ更新。台車は6000系とは違い、札幌市営地下鉄1000系/3000系に続き市電東西線用A2000型にも採用され、札幌市営/定鉄を問わず標準となりつつあったTS910型に三相交流対策を施したTS910改へ履きかえられた。

合わせて問題の多かったアコモデーションについても見直しが入り、窓を車体強度に影響ない形で開閉可能とするために熱線吸収ガラスを使用した内開き窓への交換、強制換気装置、冷房の搭載が行われ、車内は両端部をロングとした転換式クロスシート(2600系同様、新幹線0系の廃車発生品)に交換された。

改装なった2300型は形式名もクモハ2300形となり2両1ユニットで約1年間の試験の後、営業試験という名目で急行用増結車あるいは2両で真駒内〜定山渓間の運用に就くなど、それまでの「いらん子」の汚名を返上せんとばかりの活躍を見せ始めた。

だが、車体強度上屋根上に冷房を載せられず、車内の一部を仕切って冷房装置を搭載したため収容乗客数が少なくなったことからラッシュ時の増結車としては使いにくいなどの不満も有り、車体強度的にも強引な改造がたたって改造後10年を過ぎたあたりから運用につくことが減少。結局21世紀を迎えることなく2000(平成12)年3月一杯で休車、その後まもなくして除籍、解体の憂き目となった。

最後の定鉄在来車で有った2300型。その原型をたどると電化開業当時のモハ200/300型であり、在来車の中では定鉄の歴史を最も長くみた車両であったと言えよう。


■コメント

史実に存在した定鉄型車両は地下鉄直通と同時に大半が廃車あるいは他地域への譲渡…と言う運命を辿らせてますが、少しぐらいは近代化後に生き延びても良いかな・・・と思いいろいろ調べていくうちに、やはりこの2300形がベターかな、と思い作ってみました。

本文中にも書きましたが、この2300形はいろいろな意味で悲運の車両です。電化開業当時の車両であるモハ200/300の近代化改装として東急7000型に匹敵する新造車体を与えられたは良いけど、北国だからと言って窓は完全固定式で冷房無しと言う無茶苦茶な設計だわ、下回りは85kwしか無い旧式モーターのままだわと悲惨な車両でした。就役後6年で定鉄が廃止された際、貰い手が無かったのも頷けます(笑)

ですが、定鉄が生き残りオリンピック輸送の核となり発展を続ける捏造世界では無理やり手を加えてでも生き延びたんでないかなー…と思い改造してみました。まぁ逆に「普通に使える電車」になるようにいろいろいじるつもりだったのですが、改造時期を捏造世界におけるオリンピック開催年(1984年)より前と据えた場合、VVVF試験車に改造される東急初代6000系からモーターやら台車やら貰おうかな、と思っていたら某所の掲示板にて「いっそのこと2300型を近代化改装するなら寒冷地耐久試験の名目でVVVF化してみたらどうでしょう?」と言われ、悩んだのですが「東急の実験線として生き残りの道を模索するバブル前の定鉄」と言う想定ならOKだなと思い採用(笑)結果かなりの魔改造電車になってしまった気が…。地方私鉄である定鉄でVVVF車を運用できる変電所の余力有るの?と言う気がするけど、札幌市営との相互直通前提で変電所容量を増やしたって事にしておいてください(笑)

車体の改造内容としては…正直、地下鉄乗り入れ用としては2扉だとラッシュ時使えないな、と思い急行用増結車をメインの使い方として想定し、車体強度を可能な限り下げずに窓を開くよう、冷房スペースとなる部分と戸袋窓以外は内開き窓に交換。それでも足りない時は足りないだろうと思い、冷房化もしてみました。車体のベースとなった東急初代7000系は冷房機を搭載できる車体強度が有ったようですが、2300形はどうかわからんぞ…と言う思いから床上設置とし、窓を一つ埋めてしまいました。これにより定員が減るため、思い切って車内は急行増結用として割り切り転換式クロスシートに改装としています。

まぁ、これで車体の寿命分ぐらいは長生きできるかな・・・とも思いますが、結果ずいぶん無茶な改造になってしまったなーと(笑)

 

 

車両詳細
製造初年 1933(昭和8)年 台車形式 TS910改(乾式円筒軸案内方式(シュリーレン))
改造初年

モハ200/300→モ2300 1964(昭和39)年

VVVF改造 1983(昭和58)年

電動機・駆動形式 三相交流かご型誘導電動機(形式不明/180kw)
中空平行軸カルダン駆動TD継ぎ手
全長

18,140mm

パンタグラフ形式 PS−102
全幅

2,840mm

制御方式 3レベルVVVFインバーター(GTOサイリスタ/ 1C2M)
回生優先編成電空強調制御 東洋工機製
全高(パンタ折り畳み面) 4,100mm ブレーキ方式 回生ブレーキ併用電磁直通式空気ブレーキ。
耐雪ブレーキ付き 回生失効域15km
重量 35.6t 運転最高速度(加減速度) 95km/h(加速2.5km/s。減速3.0km/s)
乗客数

100人(座席54人+立席46人)

在籍両数 2両
製造メーカー 日本車両 東京支店 改造メーカー 東急車両 横浜製作所
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